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形状記憶・超弾性合金 古河NT合金
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4. 形状記憶特性
(FTM技資 1997.1)

  NiTi系の実用的形状記憶合金の変態点(Ms)は図4・1にみられるようにNiの50〜51原子%で220〜320Kの範囲にある。表4・1に古河NT合金の主な特性を示しておく。図4・2には、表4・1の3種類の変態を示すコイルばねの定荷重下での温度-変位(せん断ひずみ)の曲線が、示されている。
  図4・2で上段は母相→R相、R相→母相変態、中段は母相→O相、O相→母相変態、下段は母相→M相、M相→母相変態をそれぞれ示している。この中で応用範囲の広いR相とO相変態について簡単に触れておく。

表4・1  古河NT合金の代表特性
効果 記号 合金系 変態温度
範囲
(℃)
相変態の
種類
回復ひずみ
(%)
温度
ヒステリシス
(℃)
耐久性 応用例
形状記憶
効果
NT-M
NT-LS
Ni-Ti
Ni-Ti-Fe
0〜70 母相→R相 1 2〜3 >1,000,000 センサ、
アクチュエータ
(長寿命)
NT-H Ni-Ti-Cu 50〜80 母相→O相 5〜6 10〜15 10,000〜50,000 センサ、
アクチュエータ
(大ストローク)
NT-M Ni-Ti -10〜100 母相→M相 6〜8 20〜40 <100 コネクタ、継ぎ手

効果 記号 合金系 変態温度
範囲
(℃)
超弾性応力
(MPa)
[kgf/mm2]
応力
ヒステリシス
(MPa)
[kgf/mm2]
特長 応用例
超弾性
効果
NT-E
NT-L
Ni-Ti
Ni-Ti-Fe
-20〜50 294〜588
[30〜60]
245〜428
[25〜45]
長寿命
良加工性
各種ばね素子
アンテナ芯線
ブラジャーワイヤ
眼鏡フレーム
歯列矯正ワイヤ
NT-N
NT-RA
Ni-Ti
Ni-Ti-Cr
490〜882
[50〜90]
高超弾性応力
NT-HR Ni-Ti-Cu-Cr 294〜588
[30〜60]
98〜294
[10〜30]
低応力ヒステリシス

Ms温度とNi濃度の関係
図4・1  Ms温度とNi濃度の関係

Ni-Ti-Cu合金コイルばねとNi-Ti合金コイルばねにおける温度
図4・2  Ni-Ti-Cu合金コイルばねとNi-Ti合金コイルばねにおける温度
せん断ひずみ曲線

4.1 R相変態
  図4・3のDSC曲線では、冷却過程で2つの発熱のピークが現れている。最初のピークは、母相から小さな変形を示す相への変態に対応しており、変形量にするとひずみで1%以下である。この変態は冷問加工後400〜550C程度の熱処理したときに現れるR相(Rhombohedral構造)変態である。今一つの変態はM相(Monoclinic構造)変態である。R相変態は変態に伴う変形量が小さいため繰り返し特性に優れている。
 コイルばねの高温、低温での発生力とばねの形状より横弾性係数(G)を求めると、図4・4のようになる。この数値を使って、形状記憶合金のばねを設計できる。図4・5はコイルばねの定荷重下での動作特性を示している。5×105回のヒートサイクルで劣化は認められない。R相を含む変態での寿命は、ひずみの大きさと繰り返す温度範囲に影響される。図4・6は拘束ひずみと104回後の発生力の劣化の程度の関係を示している。拘束ひずみが1%を越えると104回後の発生力が急速に減少していることがわかる。

R相変態によるDSC曲線
図4・3  R相変態によるDSC曲線
横弾性係数の温度変化
図4・4  横弾性係数の温度変化

図4・5  Ti-Ni合金のR相変態に伴う変位
温度曲線に対する変態サイクルの効果、62MPaの定荷重下の測定結果

Ni-Ti合金コイルばねの温度
図4・6  Ni-Ti合金コイルばねの温度
発生力曲線と寿命特性における拘束ひずみの影響

4.2 O相変態(Ni-Ti-Cu合金)
  Ni-Ti-Cu合金でのマルテンサイト変態は通常母相→O相変態である。O相変態はR相変態と比較すると、ヒステリシスが大きく10〜15℃であり(図4・7)、繰り返し時の劣化が少し大きいが、先の図4・2からもわかるように、低温時の発生力が小さくバイアスばねとの組合せが有利である。繰り返し特性について、図4・8にR相も含めて代表的な使い方での発生力の劣化を示した。

Ni-Ti-Cu合金コイルばねの2方向素子としての寿命特性
図4・7  Ni-Ti-Cu合金コイルばねの2方向素子としての寿命特性
(せん断ひずみ0.45%)
(a) 繰り返し数に伴う95℃における発生力の変化
(b) 温度−発生力曲線の変化

温度サイクル疲労特性に及ぼす試験温度の影響
図4・8  温度サイクル疲労特性に及ぼす試験温度の影響

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